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百花のあのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
2.1
※阪神・淡路大震災の描写があります。
 苦手な方はご注意を。

毒親育ちの子供から許されたい毒親が作ったのかな。

あらすじを読んで菅田将暉演じる泉に親近感を抱き、またこの先あるかもしれない認知症の親との接し方をイメージ出来るのではと思い見に行ったのですが、深読みするほどの深さもなく、AIや人物背景何もかも中途半端で残念だった。

トラウマで吐いてしまうほど忘れたいツラい過去がある息子が、認知症で記憶が失われていく母親に接することで、母親とのツラい思い出だけじゃなくて幸せな記憶もあったなぁって思い出したとて、過去が消えるわけでも、傷が治るわけでもないだろう。

あらすじを読んで、どんな理由で母子の溝が出来たんだろって思っていたけど、言葉を選ばず言うならば、くっそくだらねぇただの不倫駆け落ち子捨てじゃねーか。「あの子は私を恨んでいるでしょうね」ってそりゃそうでしょうよ。しかも何も言わずドロン。よく殺されなかったなと思うし、よく関係続けてくれてるとも思う。

個人的に不倫の終わりを連想させるために阪神淡路大震災使ってるのが生理的に受け付けない。阪神電車の線路、1994年のスケジュール帳で察した。あえてその時代を舞台にするならば、もっと出来ることがあったのでは…海を見て息子を思い出して(東京に戻る)って描写だけ。不倫相手は?友達は?どうなったのか先がない。

長澤まさみ演じる香の「いつまで謝らせるの」ってセリフが刺さった。前向きな意味ではない。親から受けた傷ってのは消えることはない。この映画を見て感動したり、親を大切にしたいと思える感性の持ち主になりたかった。辛くなっただけ、残念。


映画としては見なきゃよかったという感想に尽きるが、強いて、よかったと思った点をあげるのであれば、菅田将暉の表情と楽曲の親和性、あと認知症当事者の描写である。スーパーと団地の階段はずしっときたな。認知症は怖い。
あ