酸素

VORTEX ヴォルテックスの酸素のレビュー・感想・評価

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
4.7
今までのノエのやってきた挑発的な表現が、全てこの作品に昇華されている。

オープニングの美しさがあまりにも切ない、完全不可抗力の絶望を際立たせていると思える。
画面分割が始まるところは胸がつまる思いだった。

『老い』という、理想的な“可愛いおじいちゃんおばあちゃん”でもなく、ロマンチックに愛情が全てを丸く納め切れるものでもない、静かに確実に全てを奪っていくものだという、実に残酷で生々しく描かれた作品であると思う。

中盤の日常は正直なところ、退屈でぐったりとした空気が流れ続けていると感じたが、その退屈自体が、老夫婦の現実を際立たせた見事な演出であっただろう。

ギャスパーノエのほとんどの作品は鑑賞してきたが、今までの全てをまとめた真心のこもった作品だと感じた。
酸素

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