剣々

サメと遊ぶ伝説のダイバーの剣々のレビュー・感想・評価

サメと遊ぶ伝説のダイバー(2021年製作の映画)
4.0
生ける伝説の女性ダイバーの物語

海と生きる女性ヴァレリー・テイラー
小児麻痺の入院中に読んだ小説で冒険心を養い、スピアフィッシングを通じて海にのめり込んでいく…
そして伴侶のロンと出会うも、彼はサメに襲われてしまう
襲った相手のことを知ろうと彼女はサメの世界へとさらに足を踏み入れていく

サメ研究のパイオニアである女性の半生を描くドキュメンタリー
海洋資源は無尽蔵にあると思われ、スポーツとしてスピアフィッシングが盛んだった時代
男性優位な世界に飛び込んだヴァレリー、やがて虐殺されるサメに心痛めヤスからカメラへと得物を持ち帰ます
「良いサメは死んだサメ」と言われていた中、彼女ら夫婦はサメに歩み寄っていくわけです

皆が恐れる未知の世界に踏み出す勇気には脱帽!
そして、野生のサメに簡単な調教を施したり、鯨の死骸に群がるヨゴレの大群の中に混ざっての撮影だったりと驚かされることばかり!
サメの知能の高さにも改めて驚かされましたね
サメを映したどの映像も素晴らしいものでした

そしてそんなヴァレリーとロンに影響を受けた1人がとある本を書き上げ、それが映画化されることになります
ヴァレリーとロンも撮影に加わり、出来上がった作品が歴史に残る大傑作ジョーズ!
あの偶然撮れたというケージ破壊のシーンは2人が立ち会ったシーンだったんですね
予想以上に大ヒットするわけですが、サメとの共存を示してきた2人が参加したジョーズが人々を恐怖に陥れ、サメの虐殺や乱獲を引き起こしてしまうのが皮肉ですね

サメという種の危機に保護活動をする2人が印象的です
サメはひと噛みで人を噛み砕くと言われれば、鎖帷子きてわざとサメに噛ませそんなことはないと証明するなど身体を張ってサメを助けます
そして国立海洋公園を作りサメの保護区を認めさせたのですが、そのホホジロザメの保護区がジョーズの撮影現場だったというのがまた数奇な運命を感じさせますね

サメと海と真正面から向き合い続ける女性の物語でした
海はやっぱり神秘的だし、サメは魅力的な生き物



【雑記】
今回はKahoさんとの同時鑑賞でした
変わり種でドキュメンタリー映画でしたが、楽しんでもらえたでしょうか
サメという生き物にとってもサメ映画にとっても貴重なことを知れた作品だと思います
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