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生れてはみたけれどのyouのレビュー・感想・評価

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)
4.0
大人の見る絵本。
まさにそうだと思う。

きっと子供の頃に観ていたとしたら、
大人が言っていることなんて半分も理解できずに、プチ反抗起こしている兄弟の気持ちばかりに共感してしまいそうだなぁと思うけれど、働く身になった今の私には、大人の世界の生き方もわかってしまっているわけで、、、後半の父と子のやりとりにはかなり学ぶものがあった。
どちらからも、学ぶものが、あった。


大人は立派に身を削りながらも、生きるために気付くと蓄えていた術を持って、気付かないフリもしながら懸命に生活を送る。
子供は自分たちのわかる世界の中で、楽しいことも苦しいことも見つけながら、自分の意思を持つことに強さを感じ、気づかないふりをしている大人に疑問を覚えては、未来の自分をどこかに見てしまい悲しくなったりもする。
未来でもあり過去でもある大人と子供は、目線が異なるだけで結局は同じ人間であり、大人だって子供のような姿を持っているし、子供だって大人も驚くほどの意志を持っている。

『お早よう』はエンタメのような要素を感じながら大人と子供の関係に学びを得たけれど、『生れてはみたけれど』は白黒のサイレントということもあり、言葉(字幕)や登場人物たちの感情や表情への意識がとてもストレートに入ってきて、、深夜3:30に生きてゆくことを深く考えさせられた。


難しいことは言っていないのに
気がつく時いつも
物語を通して得るものが大きすぎる。
小津安二郎の描く、大人、子供、家族に
痺れを起こすほどのすごさを感じた。
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