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HiGH&LOW THE WORST Xのがらがらのレビュー・感想・評価

HiGH&LOW THE WORST X(2022年製作の映画)
4.0
『HiGH&LOW』×『クローズ』のクロスオーバー企画の続編。今回はとうとう鈴蘭高校も参戦。

やっぱりこのシリーズは金が掛かっていて派手だから楽しい。濃いキャラクター、激しくてカッコいいアクション、他では滅多に見れないような集団戦と今回もシリーズの魅力が詰まっていて面白い。

今回の敵は複数の高校が連合を組んだ"三校連合"。冒頭から「ride or die」と共に流れる三校連合の映像でテンションがブチ上がる。前作の「top down」流れながらの鳳仙登場もそうだったけど、ザワは冒頭の掴みが超絶上手い。それに三校連合によるSWORD地区への乗り込みシーンは怪獣映画のような演出で痺れた。

そしてこの三校連合の中でもトップの天下井が特に凄い。今時こんな悪役いる?ってくらいのキャラクターで、運転手付きのベンツで登下校するくらいの金持ちなのにわざわざ不良高校に通い不良の頂点を目指すとんでもない高校生。(なんで?)「この世は上か下か、俺は上に立つ男だ」「俺以外の人間は全て駒だ」とか、信じられないほどコテコテな漫画の悪役みたいなセリフを堂々と繰り出していく。拉致った相手をロープで縛って吊るしてたのは馬鹿すぎて笑った。

今回の目玉の1つでもある鈴蘭高校の乗り込みシーンは熱いし、ラオウも背が高くて本当に強そうで良かった。(鈴蘭のテーマ曲もカッコいい)

レギュラー組だと轟かま相変わらずカッコいい。喧嘩シーンが端折られがちで、多少弱体化されてるような気がしないでもないけど、振り返ったら轟がいるシーンなんかは最高。

これもある意味このシリーズっぽいけど、シナリオの気になる点も多い。前作で不満だった主人公の幼馴染あたりの話は無くなってVS三校連合とのケンカが中心になったのはいいんだけど、主人公とか敵の葛藤が描かれるたびにテンポが重くなるのがだるい、あそこまでウェットにしなくていいのにっていつも思う。

それに過剰なファンサービスのせいか、いちいちキャラ同士の関係性を匂わせる描写が多いのもちょっと鬱陶しい。小田島有剣はめちゃくちゃいいキャラだし人気なのは分かるけど、流石にちょっとやりすぎ。”昨日の敵は今日の友”的な展開もこのシリーズらしいっちゃらしいけど、そのせいで全体的に馴れ合い感が強くなっていて、前作であれだけカッコよかった殺し屋鳳仙がヌルく見えるはもったいない。

ラオウとの関係構築もあれだけで済ませてしまうのはどうかと思う。ジャム男のエピソード聞いて、No.2に聞き込みに行って、噂の真相を口で説明して……って、長い長い、偶然でもなんでも喧嘩する展開でもあれば喧嘩シーンも入れられるし、後半の展開も自然だった気がする。

轟だけじゃなくて敵の幹部連中との決着も見せなかったり、面白かったけど残念な点も多い。

退学した村山さんの不登場はしょうがないか。
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