カマリス

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのカマリスのレビュー・感想・評価

4.9
 ストーリーもメッセージ性も音響も映像も、すべてが自分に刺さった。
最近観た名作と言われている作品より頭1つ抜けて良かった。
こんな映画を求めてた。

『ハリー・ポッター』終わったあとのダニエルに死体役をやらせる監督が創っただけあり、シュールで狂った映像や音響の数々は私に喜怒哀楽を味わわせた。
そして、それがマルチバースという設定上に最大限にいきてきており見ていて本当に目と脳が幸せだった。

ストーリーやメッセージ性においても家族や多様性について当然のように考えこまれており、さらにそれがニヒリズムへの抵抗へと繋がっていたのが興味深く本当に良かった。

この作品の設定上疑問に感じる点も少しあった。特に時間に関する概念に少し疑問を感じた。本作品では恐らくマルチバースは(ほぼ)自由に移動できるものの時間の前後は自在ではなく、とすればすべてのマルチバースを認識できただからといって未来を知らないのに失望するのは少し疑問に感じた。
しかし、そのような点も圧倒的な魅せ方の良さとストーリーとメッセージ性によりほとんど感じないものになっている。人によると思うが、個人的にSF作品はこのような問題点や矛盾点をどれだけ忘れさせるかが肝になっていると思う。そのように考えると本作品のこのような点は一切気にならなかった。

マルチバースは手段であって、目的であってはならないと今のMUCに突きつけているようだ。

ストーリーや設定は少しややこしいが、映像や音響を楽しむ視点からこの映画を観始めてもいいかもいれない。なので、IMAXがオススメ。
カマリス

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