すずめの戸締まりのかっぱのレビュー・感想・評価

新海誠作品で一番好きかも。自分を大切にできない人たちが他者を愛し愛されることを知って初めて生への執着を見せる、壮大な物語。

すずめが中盤まで「死ぬのは怖くないの？」という質問に対して何の迷いも疑いもなく「怖くない」と言い切る度に胸を鷲掴みにされるような心持ちにされました。
あの発言が迷いなく出てくるなんて、どれほどに自分を蔑ろに（それも無意識レベルで）していたんだろう、どれほどに死が近しい存在だったんだろう、想像すると身が震える思いです。
だからこそ、最後「生きたい。死にたくない。」と言った時は自分事のように嬉しくなったし泣きたくなりました。
他者との繋がりの中で人も神も変わっていくんだなあ。なんて。

自分とも過去とも他者とも正面から向き合うことで、初めて鎮めることができる。
おかえりください、っていうのは、もしかしたら「お還り下さい」ってことなのかしらと想像してみたりもしました。

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芹澤くんの「闇ぶけー」といいながら最後までお供するところ、好き。

配信されたら字幕付きで祝詞部分をちゃんと知りたいな。初めの方で大黒天なんやら言ってた気がする。だとしたらあの神様たちの正体って……？

ファンタジー要素とシリアスな内面要素を上手いバランスで描かれていて、サラッと見ても深く見ても何度でも違う味を楽しめそうな予感がふつふつと沸き起こる、新海誠節が効いた作品で大好きです。