二人の人間像が、反目し合う男女というテンプレに陥らなかったことは、人物造形を現代的にした。ソウタは閉じ師の仕事では生活できないと見込み、教師を目指して大学生をしている。この点など、自分が人のために大切に行うことでもお金にならない現代の悩みをよく表している。ふたりには思いやりと決断力があり、好ましい。
この映画では、決断への葛藤でいらいらさせる部分がない。私はこれをプラス材料として受け取りたい。
代わりの葛藤が用意されなかった分、溜飲の下がらないアクション映画になっているところはあるが、葛藤で時間稼ぎさせられる映画よりずっとよい。この進歩を踏まえて、新しい葛藤をほかの映画が見せてくれるだろう。