ククルスドアン

すずめの戸締まりのククルスドアンのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
5.0
日本人にとって、また現代の東北の方々にとって最も重いテーマ「地震災害」それを「椅子と旅をする」なんて突拍子のなくコメディーとしか思えないファンタジーとして描く。
売れた映画監督が大衆映画から脱却し、アカデミー賞を狙うように、新海誠監督も、日本人として、過去の記録を後世に残す作品を作ったのだろう。それゆえの集大成。
ジェームズキャメロンが「タイタニック」を作り、スピルバーグが「シンドラーのリスト」を作ったのは有名だが、彼らは忠実に過去の出来事を表現したのに対して、この作品は、過去の悲惨な現状を映像としてはほとんど描かず、主人公の内面だけで、その悲惨な出来事を描写している。
日本のアニメとしては高畑勲が「火垂るの墓」で戦争を2人の兄妹を視点にリアルに描いたのとは全く対照的な表現方法。
過去に大地震のあった場所を旅する2人。
冒頭のビルの上に乗る船を筆頭に、途中GPSが東北道を走っている映像、過去に住んでいた家は基礎だけが残っている、燃えさかる街並みらしきもの、直接的には過去の映像を描かないが、
そう言う【見る人が見れば一目で分かる】表現で新海誠監督(1973年生まれ)と同世代の団塊ジュニア(第二次ベビーブーム世代)の心を串刺しにする。友人が車内で流す歌謡曲も、そんな世代にド直球なのである。
阪神淡路大震災、東日本大震災を経験し、テレビで毎日のようにその悲惨な光景を見てきた世代に「この悲惨な出来事に目を閉じず若者にその経験を伝えなさい」と言ってるような気がする。ここでこの作品の感想として書かなければいけないと使命感さえ感じでしまう。
一貫して鍵を閉めたり、開けたりするカットが多い(映像表現、カメラワークは個人的に大好き)が
テーマとしては、

何年も前に自分の心に鍵をかけてしまったけれど、その扉を開けて前を向いて進もう!


そして
「震災への想い」
なのだと思う


わからない人にはわからない、
伝わらない人には伝わらないのか?
と他の人の感想を読みながら、悲しく思う、、、

ままとまりがないが、、、書きました。
アカデミー賞期待してます。
海外の方が評価されるような気がしますが、、、
近いうちに、もう一度鑑賞します。

ブラボー!!!
ククルスドアン

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