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ティルのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
4.0
"他人事"から"私事"へ…息子エメットのために!ダニエル・デッドワイラーの熱演が引っ張る伝記映画

こんなに長く離れるのは初めて…愛息子エメット、シカゴを離れてミシシッピへと"ルーツを知る旅"。綿摘みなど南部の黒人を知らないがゆえに、ボー(ボボ)はおそれていない。愛情深く育てられたがゆえに、ユーモラスおふざけ好きで"憎しみ"も知らない。
黙っていても何も変わらない。あまりにも無惨でショッキングな遺体を全米に公開するという決断。NAACPなどが何を言っても先の長い大局でなく今、息子を殺した被告に罪を償わせたい主人公メイミー。そりゃそうだ。果敢にも自らミシシッピに乗り込んで証言台へ。けど、陪審員は白人男12人。つらくとも気丈に振る舞う姿。
映画を見ているそのときは「あ~!なんでそんな余計なこと言ってしまうのか」と、語弊を恐れずに言うってしまえば"オイ、エメット!"って気持ちにもなったが、そんな毒された当時の"常識"に染まってちゃいけない。何があっても、そんなことで人を殺すなんて断じてあってはいけないことだ、それもあんなふうな形で。傍聴席などのクソ白人連中にも心底ムカついた。ヘイリー・ベネットのキャリア追いかけているわけではないが、今回の彼女は彼女のキャリア史上トップレベルに最低な役ではないか。
所々の効果的な演出も相まって感情揺さぶられグッと来る。そして、黒人社会全体の問題なのだと気づき・認め、活動し始める!最後の本件の顛末・後日談も何ともリアルな部分もあり、苦しく不愉快になりながらも、かすかな希望や確かな変革もそこにはあった。世界の警察ぶってみんな大好きな超大国アメリカもこんなだったのだ。今日まだの部分があれば変わっていかなければならない。
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