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ティルのchinsukoのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
4.0
悲劇であり、胸糞悪いと分かっていながらも鑑賞

1955年、南部のミシシッピ州においてエメット・ティル少年が白人女性に口笛を吹いたかどで拉致され、リンチの上殺害された。
母のメイミーの元に無言の帰宅をしたエメット少年は若干14歳であった。

2人の白人が暴行罪で起訴され裁判が行われるが、陪審員は皆白人で結果は判り切っていた。それでも証言をするために危険を顧みず現地へ赴くメイミー。

純真無垢な息子を失った悲しみ、怒りを抑えながら証言台へ立つメイミーの姿に、こちらも悲しみの感情を禁じ得ませんでした。

この出来事を足掛かりに、メイミーは公民権運動家の道をたどる事になります。そして現在、「エメット・ティル反リンチ法」が成立されたのだが、この悪しき過去を子供に教えないという法案を立ち上げようとする地域が存在するという。

70年前とはいえ、なんて身勝手な風習だろう。過去を知る事で意識を変えていく事は大切なのに。

さて、メイミーを演じたダニエル・デッドワイラーさん、その見事な演技に圧倒された。

悲しい事件であるが、ドラマティックに見せ、かつ勉強にもなる秀作であった。
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