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TAR/ターのskmのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.2
この世には様々な価値基準があり、理想追求の過程でそれらは交わる事なく、各々の美しさを主張するように聳え立つ。
そして人々は生きる為に、絶望しないためにそれらを利用する。

崇高な理念だったもの達は、時折、天変地異のようなエネルギーでもって衝突を起こし、人々を引き裂き、血を流させる。
そんな我々が生きる世界の過剰なまでの歪さ、 意味不明さ、グロテスクをこれでもかと突きつけてくる作品。

特定のキャラクターに絶妙に肩入れしにくい作りでどうしてもラディカルな視点を強いられこのような抽象的な感想になる。

(追記)
・ドラマとして最高にエキサイティングなのは勿論、キャラクターが滅茶苦茶魅力的なのに共感を許さないというのがこの映画の良さと言えるかな。
・「アカデミックである」ということが、ある種の人にとってどれほど甘美な響きを持っているか。そういうのを感覚として理解しているかそうでないかで終盤の印象はかなり変わると思う。
・スパーリングでストレスを発散させるシーンが良い。なんか自分も頑張ろうという気になる。
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