このレビューはネタバレを含みます
あれはダメだこれはするなという奴が、一番やらかしてるという、ラスボスが同情のかけらもない人種なので、『1984』なディストピア世界を気持ちよく破壊してくれる主人公に爽快感。
感情ないはずなのに、あんな怒り狂って机叩くなよ。そして誰かそれを突っ込んでくれよ。
内容はまあ他にもありそうなディストピア世界なんだけど、
「何も感じず、愛情もなく、怒りや悲しみもなければ……息なんて時計の音と同じよ。」
と静かに激情を表すヒロインの言葉に心を震わせる主人公が、ワンちゃんに癒されたり、ピンチに陥ったり、けっこうドキドキしてあっという間の映画だった。私がチョロいんです。
子ども二人が、主人公(親)をも騙す演技派なのは哀しいけど(きっかけが母親の処分なんてさ…)、最後に聞こえる爆発音にニヤリとする姿には逞しさを感じずにはいられない。父親をしっかり助けてくれてありがとね!
最後、あの世界が割とあっという間に崩壊していくのも良き。こんなんで良いんですよ、これくらい単純明快なメッセージで。
ヘルシングの少佐風に言うならば、主人公は『枷を切った』。正常な、人ならば当たり前に持つ感情迸る混沌の世界へ。ブラボー👏