突然目の前で振り下ろされるレフェリーの手。
ノータイムで殴りかかってくるボクサー。
割って入ってくるレフェリーの厳しい目付きからは、何が起こっているか読み取れない。
セコンドのサインを見る隙もなく、1人だけの戦いが続く。
耳が聞こえない中で行うボクシングの孤独。常に複数vs1人。その孤独は、日常の中でも節々に現れる。
周りの人たちと全く通じあえていない瞬間もあれば、通じあっている瞬間もあって。色々な感情を飲み込めてしまうほど強くて、でも繊細な主人公だからこそ、会長とのシャドーボクシングのシーンは心動かされた。言葉なく語られる様々な感情を演じきった主演・岸井ゆきの。とんでもない名演だった。
