もりはる

ケイコ 目を澄ませてのもりはるのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
4.3
前から気になっていたけど見れていなかった映画。
日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をとったと聞いて急遽観賞(本日3本目)。

結果、見てよかった。本当によかった。
16ミリフィルムで撮ったとあって画が美しい。
そしてこの映画の最大の特徴は音。劇伴がなく生活音、環境音だけ。音がこの映画の世界に引き込ませてくれる。
エンドロールすら音楽なく街の映像のみ。
余計なナレーションや説明的なセリフもなく、見る側が表情や少ないセリフから感じ取るしかない。
そのためつまらないと感じる人もいるだろう。

両耳が聞こえないプロボクサーという非常に難しい役。聾者役のためセリフはなく主演の岸井ゆきのさんが表情と身振りだけで見事に演じている。ボクシングの役作りも素晴らしい(門外漢なので本職の方がどう思うかは分からないが。)。
失礼ながら今まで存じ上げなかったが、まさに最優秀主演女優賞にふさわしい。ファンになった。

会長と鏡の前で涙しながらシャドーするシーンは印象的だった。

総じて美しい映画。劇場を出てから、あぁいい映画を見たな、とジーンとした。
この監督の他の作品も見てみたい。

(追記)
観賞後に岸井さんの受賞スピーチを見てぐっときた。映画を信じている人なんだと思った。
最優秀主演女優賞をとれたのはよいが、作品賞はおろか各技術者賞にもノミネートされていなかったのはなぜなんだ。
もりはる

もりはる