孤児の少年が海辺の町の一人暮らしの婦人に預けられる。少年はロブスター漁師と交流を持ち漁師になることを切望するが、漁師の別れた恋人は少年の監督者で、少年を危険な海から離したいと思っている、という話。
海で漁を営む人、その家族、恋人、海に惹かれる少年を描いて、それぞれの思惑が絡み合い解けていく様子に心打たれる。
映画は漁師と恋人の別れから始まる。言葉もなしに離れて行く様子。手に残された指輪でそれが分かるのだけど、漁師の恋人は愛する者が海で亡くなるのを恐れていて、別れを選択する。この町の半数は海で家族を亡くしていると言う。そういう状況で暮らす人々の生き方をメロドラマの大家でもあるヘンリー・キングが繊細に演出していて、メロドラマというよりは人間ドラマなので、地味と言っていいくらいだけど、海しかない町の雰囲気と実直な人々の様子がよく出ている。一転、大時化の中を漁船が行くスペクタクルな場面の迫力は、唯一の激しさであり、海で生きることの危険性も認識させられる。
少年が預けられる気難しいけど誠実な婦人、漁師の相棒のキャラクターも良い。特に相棒はコミカルながらも少年と同じく海から離れられない人である。
主演はダナ・アンドリュースが質実剛健な印象で良い。好きな俳優。相棒はシーザー・ロメロ。少年を名子役ディーン・ストックウェル。預入先の婦人はアン・リヴィエール。ヒロインはジーン・ピータースが始終ふくれっ面でデビュー二作目ですでに貫禄の存在感。

Deep Waters [1948 - USA] Dana Andrews drama

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