わしみや

牛久のわしみやのレビュー・感想・評価

牛久(2021年製作の映画)
3.8
自分は曲がりなりにも学生時代に留学をして、ある程度グローバル社会みたいなものには経験値としての理解があるとは思っていたし、周りで入管の収容所で苦しむ人がいる現状に対して疑問を投げかける人もいて、何となく日本の難民問題については考えているふりをしていたような気がする。収容所の中で起こっている現実から目を背けた上で考えていた。
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収容者は入管の職員たちのことを「邪悪」と呼んでいるが、では本当にその人たちが邪悪極まりない人間たちなのかというと決してそうではないと感じた。彼らは政府の歯車として動く中で仕事として邪悪なことをしているだけだ。きっと彼らも家に帰れば良いパパであり良い息子なのだろう。スタンフォード監獄実験やアイヒマン実験の心理状態に近いものがあるのだろう。
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社会に切り込むドキュメンタリーを見るたびに「じゃあ自分はどうすればいいだろう」と思う。国会議員になればいいのか、NPO団体を立ち上げればいいのか。一朝一夕で出来ることではない。ただこの映画を見て、現状を知るという行為そのものにどれだけの価値があるのか。私にはまだ分からない。
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