笑わせてよ

裸足の1500マイルの笑わせてよのネタバレレビュー・内容・結末

裸足の1500マイル(2002年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

先住民アボリジニと白人男性の間に産まれた混血児を集め、白人文化を教えるという名目で強制収容するムーア・リバー収容所。聡明なモリーとその妹達もある日突然母の元から攫われこの施設で暮らすことになる。劣悪な環境と英語以外話すことを禁じるなどの厳しい白人化教育…。母にもう一度会いたいモリーは、捕まれば厳罰を受けると知りながら施設からの逃亡を決意する。幼い妹たちを連れ、手練の「追跡者」たちの追っ手を逃れて母にもう一度会うことは出来るのか…というあらすじ。

これがノンフィクションであることに愕然としたし、オーストラリアでこのような白人化政策が行われていたという事自体初めて知ったので自分の無知を恥ずかしいと思った。というか、このムーア・リバー収容所自体、名目上は「混血児を教育し白人文化を教える施設」ではあるけれど実際のところ「白人に都合のいい召使い養成所」ではないか?と思わされた。特に途中で出てきた収容所出身メイドのメイビスのシーンだけれど、あれはメイドの業務以上の事を主人に求められているのでは…?混血児の人権とは…?とか色々考えてしまった。まぁ攫われて強制収容されている時点で人権なんてほとんど無視されているようなものなのだけど。

あとは、途中でモリーと妹達を助けてくれた様々な人々(白人も多かった)が、あんなに優しさはあるのにムーア・リバー収容所の存在は黙認しているのが不思議。誰もこの政策に公には反対しないのか、できないのか…?同調圧力のようなものが働いていたのか。
終始クールで強く賢い女の子モリーが、グレイシーが捕まった時は声を殺して泣いているのを見て、私も涙が滲んだ。こんなに小さな子の心を蝕む酷い政策が現実にあったなんて。
色々と書いてしまったけれど総合的に、観てとても良かったと思うしみんなに一度は観て欲しい作品だと思う。あまり知られていないオーストラリアの負の歴史を知ることが出来るいい作品!ぜひ!
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