S端子

ドント・ウォーリー・ダーリンのS端子のレビュー・感想・評価

3.0
不穏な音楽や50年代アメリカの世界観、フローレンス・ピューが好き。また、双方向の解釈ができるタイトルが秀逸で好き。観ていて楽しめたけれど、後から考えれば考えるほど駄目な部分が見えてきてしまうタイプの映画。女性解放を描いた映画が男性蔑視ゴリゴリやと萎える。

仕掛けは非常に既視感がある。世界観を表現する上での粗が目立つ。考えれば考えるほど疑問に思ったり、説得力が無く感じる部分が出てくる。「考察し甲斐がある」と言うよりは「描写不足でよく分からない」と言った方が近い気がする。

また、被害者側のアリスやマーガレット、加害者側のシェリー、順応しているバニーと、いろんな立場の女性が登場するのに対して、男性がクズ一辺倒なのは偏り過ぎじゃないかと思う。

以下、ざっくばらんに愚痴。

・墜落した飛行機
・中身のない卵
・地鳴り
この辺りは結局一体なんやったん?アリスが覚醒しつつあることで起きたただのバグ?説明が足りない。

・フランクの妻が夫を刺して「ここからは私がやる」みたいなことを言ってたから、最後にあの妻が追いかけて来るのかと思ったけど、そのあと出てこなくて拍子抜けした。無能な男は殺してOKって言いたいの?あの描写だと妻も共犯者にしか見えないから、「男は頼りない」って言いたいだけに見えてしまう。

・ログアウトする方法が「本部へ行く」って謎すぎない?妻達が行ってしまう危険があるシステムにする理由が分からない

・あの世界にログインするデバイスをもう少し詳細に描いてほしかった。目を見開いて映像見せるだけ?あれだと虚構の世界で死ぬと現実の身体も死ぬって設定に説得力が感じられなかった。

・現実のアリスの身体を世話するシーンがもっと欲しい。水と目薬(時計じかけのオレンジオマージュ?)だけじゃ現実味がない。食事はどうしてるのか?運動は?あれじゃすぐにガリガリ不健康になってしまいそう。一瞬映った現実のアリスの肉体は虚構世界の肉体と大差ないように見えた。ジャックのお世話の賜物?そりゃ無理だろ。
S端子

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