lingmudayan

ザ・ホエールのlingmudayanのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.0
室内劇かつ主人公が体重200キロ超の巨漢ということでスタンダードサイズの画面が閉塞感や圧迫感を出すのに一役買っている。冒頭からブレンダン・フレイザーの死が示されるので映画全体が陰鬱な緊張感で満ちているのだが、特に母親役のサマンサ・モートンが登場してからは遺産の行方も絡んでより緊張感が増す。彼女が話に割って入る場面ではカット割りも速くなっていた気がする。

ラストで主人公が娘のエッセイの朗読を聞きながら彼女に向かって歩いて死ぬシーンには可笑しさも感じるのだが、パゾリーニの『テオレマ』やアリーチェ・ロルヴァケルの『幸福なラザロ』でも描かれているように、奇跡というのは滑稽さと紙一重なところがある。宗教をテーマとした本作でそれが描かれているのは評価したい。
lingmudayan

lingmudayan