tomohitooguro

NOPE/ノープのtomohitooguroのネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

未知との遭遇モノとしてめちゃくちゃ面白かった。しかしその主題は動物をコントロールすること、そして映像を撮影するというものであり、単なる未知との遭遇で終わらないのが流石ジョーダン・ピールだと思った。
今作では黒人のアイデンティティへの言及が少なかったように感じた。冒頭のラッキーの撮影シーンでの会話で感じたくらいか。
猿から唯一攻撃されなかった少年をアジア系にしており、見せ物にされたことへの猿の怒り(映画開始時の引用文が効いている)を受けなかったことで、アジア系の少年も猿と同様に見せ物ポジションでの出演だったという仄めかしがあった。つまり今作は過去作でテーマとして扱っていた黒人のアイデンティティを黒人とアジア系を含むマイノリティ人種のアイデンティティまで拡張した印象を受けようと思えば受けられなくもない。ただしあのアジア系の少年は成長して自分のビジネスを成功させているしあまりPTSD的な演出もなかったし、今作での顛末からも分かるようにアジア系のアイデンティティを讃える意識はそこまでないようにも取れる。

動物をコントロールして映像を撮るというテーマについて、その起源を馬に乗る黒人としている所がジーンジャケットとの対決(撮影)でも効果的だった。
映像が残ったとしてもそれの撮影に関わったスタッフの名前は記憶に残らないという最強の皮肉を、あの白人凄腕カメラマンがジーンジャケットの撮影に熱中して絶命したことで感じとれた。

ジョーダン・ピールなので無理くりテーマ付けしてしまったが、普通にエンタメ映画としてめちゃくちゃ面白いので最高でした。
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