この『NOPE』は、監督ジョーダン・ピールの前作、黒人差別をサイキックなホラーで描いた『ゲットアウト』が傑作だったので、必ず観たいと思っていた。開始から只ならぬ不穏な空気、最悪の悪夢が始まることを告げるメタファの伏線とそれを煽る音響表現で心拍数下がらす。音の表現レベル高すぎじゃね？その迫力だけでちびって泣きそうになるからIMAXで観れる人は絶対観た方がいい。
前半は緊張感のある映像でこれはクオリティが高そうだと食い入るように観たが、後半がB級ホラー映画的すぎて次第になんのこっちゃになって疲れてくる。しかしその後の終盤に向けた展開の妙で見事にまた映画に引き戻される。
ハリウッド映画界で搾取されてきた黒人や子役、動物、力を持たざる者による反逆、がテーマと思われる。
搾取された側の怒りの爆発（→チンパンジーのシーンは怖すぎて直視できなかった）を謎の飛行物体『Gジャン』とそれを捉えようとする黒人の兄と妹、の関係で映し取っていて流石と思わされる。
『AKIRA』の金田のバイクスライドへのオマージュのシーンは必見。
エメラルドがずっと可愛くて、最後の方大きく叫ぶシーンも明快で良かった。
