ヒムロ

NOPE/ノープのヒムロのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.8
空から落ちて来た5セント硬貨が頭部に当たり亡くなった父から牧場を受け継いだオーティスジュニアことOJとその妹エム。
ある日、停電と同時に牧場の馬達が空を見上げて嘶いているのを目撃したOJは、その時雲の中に円盤型の物体を見る。
父から受け継いだ牧場を資金難から救うために二人は監視カメラを仕掛け、UFOの映像を撮影しようとする。


「ゲットアウト」や「US」の監督の最新作ということで、今回も人種的なメッセージ色強めの作品かと思ったが、その辺はメタファー的なメッセージにほとんど止まっている。
前作までは説教くさい雰囲気が苦手だったという人でも見やすい。

本題はキャトルミューティレーションを行うUFOに襲われながらも撮影しようとするアクションホラー的な展開と、UFOの正体が何なのかというミステリー的な軸の2本が走っている。
このミステリーが秀逸で、主観視点でもないのにほとんどUFOを映さない画角は見ているこっちは非常にヤキモキするのだが同時にどんなエイリアンなんだと惹きつけられてしまう。

それだけに最後の撮影シーンでの失敗はがっかり。
ネタバレにならないように言うが、まぁ大体成功したと思ったら大失敗して最後に逆転できるかどうかというのがこういう映画のお決まりであり見どころなのだが…。
その大失敗が「一体お前は今まで何してて何を聞いてたんだ」と叫びたくなる謎の失敗ですごく残念。
敵サイドの知らない能力とかで逆転されるなら絶望感が増すが、味方サイドのバカで水の泡になるのは見ていてイライラするし例え最後に勝てても「いやあれがなきゃ別にもっと圧勝だったじゃん」と思えてしまう。
そういう映画はこれだけではないが、本作は注目の一作だっただけにショックも大きかった。

途中チンパンジーが人を虐殺するシーンがあり、ここは本題以上に怖いし、直接的なグロいシーンは映っていないがエグい。
映画館で見てトラウマになったという人がいるというネットの意見も頷ける。
正直こっちが本筋の映画を作ってもらいたいぐらい怖かった。
ヒムロ

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