はさみのり

破戒のはさみのりのレビュー・感想・評価

破戒(2022年製作の映画)
3.7
島崎藤村『破戒』📙

名前こそ有名中の有名で、
作者と作品をマッチングさせる
試験に良く出てくる様な作品だが、
実際には読んだ事無い(失礼💦)

部落問題に切り込んだ作品となり、
一見重くて辛いシーンが続くのか、と思ったが、
意外と内容はあっさり目で、
これは小中学生にも観せたい、と思う作品だった。

主人公で部落出身者の丑松に、
今どきのイケメン、間宮祥太朗。
自らの出身を隠して教師をしている。
殆ど笑わず表情を変えない顔は
芯の強さも伺えるが、
父の助言で"友人を作らないで"と
言われたのもあっての事だろう。
姿勢正しい袴姿はとても凛々しく感じ
シュッとしててカッコいい🌟

父親の「絶対に言ってはいけない」の呪縛に
取り憑かれているところで、
部落出身者の猪子蓮太郎という恩師に出会い惹かれる。

終盤、教壇で生徒たちを前に
自分の思いをしっかり訴えていたシーンは
観てて思わず涙が溢れたし、
やはり頭でっかちの大人とは違い、
純粋な子ども達は"丑松先生"として見てたのが
嬉しく感じられた。

彼等みんなの明るい未来を信じていたい。

オマケ☆
ウーウェイが出てたのにはびっくり‼😵️



☆余談☆
部落問題に関しては、自分は身近にあった方。
地元では古くから地域も運動もあった為か、
小学時代から道徳の時間があり、
教科書もあったので、普通に学んでいた。
"部落だから"という事だけでは無く、
"家業に対して周りから偏見を持たれたら"
"結婚したい相手の家を理由に反対されたら"
他にも色々あるけど、
"それっておかしい""あの子はガマンしてる"
"逃げてもいい""逃げなくてもいい"等、
色んな気持ちに気付ける、て事と
自分はこう思う、と誰かに言える、て事を
大事にしていた様に思う。

部落、と言う言葉は聞かれなくなったが、
地域(住宅)は今もあるし運動してる人もいる。
知り合いに"何故地域から出ないのか"と聞くと
"この地域は先祖が闘って勝ち取ってきた場所だから"て言ってた。
勿論外へ出て関係無い暮らしをする人もいるんだけどね。
今は皆んな平等に教育も受けられるが、
祖父母の時代だとまだまだで、
今、識字学級に通ってる人もいる。

あと昔々、友達の彼が地域の子で、
幾つもバイト応募しても住所を書くと
直ちに断られ、凄く傷付き悩んでた。
その彼はコンクリートの壁に拳を叩きつけて
血を流しながら「同じ人間やのに」て泣いてた。
自分も辛くて友達と一緒に泣いた😢

実際過去に自分の先祖が虐げられていたとしたら、親や祖父母の闘う姿を見てきたとしたら、自分はどんな気持ちになるんだろう、と改めて本作を思った。
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