千年女優

月の満ち欠けの千年女優のレビュー・感想・評価

月の満ち欠け(2022年製作の映画)
2.5
愛する妻の梢と娘の瑠璃を失って消沈する八戸市出身のサラリーマンで、ある日瑠璃がかつて自身が愛した正木瑠璃の生まれ変わりでないかと主張する三角哲彦の訪問を受けた小山内堅。突拍子もない話に訝しがるも過去の瑠璃の不思議な言動に思い当たる節のある彼が、強い想いが起こした奇跡の顛末を知る様を描いたファンタジー映画です。

少女漫画原作の「キラキラ映画」で評価を高めて近年は多様なジャンルの原作ものを手掛ける廣木隆一が、すばる文学賞受賞のデビュー作『永遠の1/2』ら映画化作品も多い佐藤正午の同名小説を映画化した作品で、直木賞受賞作を大泉洋や柴咲コウ、有村架純に目黒蓮らの人気者達で描く話題性が観客を呼んで13億円の興行収入を記録しました。

流行の「転生もの」でも80年代感あるオカルト風味の物語で、佐藤作品らしいサスペンス要素で推進します。小道具はそれっぽくともイマドキなキャストで時代性を感じないのは映像としては致命的で、それが敵役の男が抱く「女はいつまでも自分を愛している」という妄想がお話全体に対しても当てはまるという歪さを助長している一作です。
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