せり

Quake(英題)のせりのレビュー・感想・評価

Quake(英題)(2021年製作の映画)
4.8
大傑作を引き当てた。
ああ、良い映画だったなぁ。



胸が締めつけられた。完全じゃないけど、支え合って、強くあろうとする家族の姿は美しい。雪国特有のひんやりとした空気感と、物語のトーンがとてもあっていた。根底にはあったかさがあるけれど、単純なあったかい物語として片付けるんじゃなくて、目を背けたくなる家族の過去や主人公の病気についてもちゃんと見せている。過去の辛い記憶に立ちかえる痛みや、思い通りとはほど遠いところで進んでいく現実に向き合う歯痒さを、とても正直に丁寧に描いていて、だから心が動かされるんだと思う。なんかこの映画は逃げてない。

娘であり、妹であり、母親であり、誰かの愛する人である主人公。同じ人物なのに、他人との関係性の中で、それぞれの顔がしっかりと見えることがすごいと思った。母親といる時は少し脆くて強がる娘であり、姉といる時は、脆さを少し見せれたり。そういうのが繊細なセリフと演技から伝わってくる。父との関係の見せ方もとても好きだった。許しきれてはいないけど前へ進もうとしている強さが父との関係の中で見えた。隣人もええなぁ。元夫もええなぁ。
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