タロウ

かがみの孤城のタロウのレビュー・感想・評価

かがみの孤城(2022年製作の映画)
4.3
『かがみの孤城』



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とある出来事をきっかけに心を閉ざしがちになり、学校にも通えなくなってしまった中学一年生のこころは、いつものように一人きりの午後を自分の部屋で過ごしていた。と、突然姿見鏡がまばゆい光を放ち始める。近づいて思わず触れた途端、体は吸い込まれ気がつくと目の前には巨大なお城。「ようこそ!」と明るい声で話すオオカミの仮面をつけた少女?に誘われるままに、こころはお城の中へ。そこにいたのは自分と同年代の男女6人。仮面の少女曰く「城の中にあるカギを見つけ、ある部屋に入ることができれば何でも一つだけ願いを叶えることができる」らしい。だが、一人気分を高揚させて話す仮面の少女をよそに、こころを含めた7人はどこか関心がない様子。それには7人に共通する"ある事"が関係しており、、
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 むちゃくちゃ良い意味で思っていたのとは全然違いました!
伏線の多さ緻密さや、心躍るファンタジー世界とゾッとするようなリアルが混合したお話がアニメ作品の中ではこれまであまり見たこと無いようなジャンルな気がしてすごい満足感だった。今作と同じく辻村深月さん原作で実写映画化もされた『ハケンアニメ!』もしかり、辻村さん作品大好きかも😍

 お城の壮大な感じとか、中に入ってからのデザイン、部屋の雰囲気や小物とか細かいところまで見入っちゃうくらい綺麗だったり可愛かったりでファンタジーなお話ならではな魅力がある反面、現実世界での7人の境遇の描き方が、まぁリアルで恐ろしい、、
みんなそれぞれが人には言えない悩み苦しみを抱えている現実をかなり厳しく描いていたと思う。とりわけ、女の子組のエピソードは3人とも見ていてとにかく苦しかった。男の子たちも含めて、みんな誰かに話を聞いて欲しかったんだ、それだけでもよかったんだって思えて次第にみんなが仲を深めていく様子は微笑ましい。

 だから、お城に行く目的がカギ探し<みんなと会って話すになってない?って思える展開も納得だった。お城は彼ら彼女らにとって憩いの場となり、かけがえのない場所になっていく。
そんな矢先に、思いがけない事態が起きて、、という展開が。同時にここから怒濤の伏線回収が始まり、ずっと驚きっぱなし。加えてお城の秘密が明かされると共に、おしよせる感動が綺麗な映像と音楽とを通して胸の中に入ってきて、、エンドロールを見終えて残ったのは、冒頭でも書いたように"満足感"。良い映画を見たなぁって実感できた幸せな時間だった。

 

 そして、今作が2022年最後の劇場鑑賞作品になりました。もう一度見たかったけれど見れなかった作品、見たかったけれど見れなかった作品、見とけばよかったなと公開した作品等々あるけれど、なにより今年もたくさんの作品を見ることができて、いろんな世界を知れたことに感謝感謝です。今年も一年ありがとうございました、、
タロウ

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