ワンコ

遠くへ,もっと遠くへのワンコのレビュー・感想・評価

遠くへ,もっと遠くへ(2022年製作の映画)
4.0
【北海道効果】

このレビューで映画について触れるのはちょっとだけです。ごめんなさい。でも、結構好きな作品。

学生時代、夏に2週間ほど友達と北海道を車で旅したことがある。

宿泊はキャンプ場。
本当はダメなのだけれど、公園にテントを張ったこともある。

網走で食べたウニ定食は今でも思い出すくらい、ボリュームがあって本当に美味しかった。

北海道初上陸だった僕のたっての願いは釧路湿原に行くことだった。

そして、釧路湿原を訪れた後、夜、根室に向かって車を走らせた。
その移動中、僕たちの乗る車の右側前方に、何かがドン!っと当たった。
運転していた僕の友人は、”牛をひいちゃった!!”と気が動転していたが、それだったら車も大破するだろうと、僕が降りて確認したら、干草の大きなかたまりだった。
きっと大型トラックとすれ違った時に、荷台から落ちたのが僕たちの車にぶつかったのだ。

「車、どー?」
「傷は…ない…みたい…だけど…」
「これ(干草のかたまり)、どーする?」と会話をしていたら、前方から来た別の軽トラックが横に停車して、作業着にキャップ姿のおじさんが、無言で(断りもなく)それを軽トラックの荷台に積んでそそくさと立ち去った。
僕たちは唖然としたが、これが北海道なのだと、妙に納得した。
だから、NHKの朝ドラ「なつぞら」の大らかな、なつの家族はとてもしっくり来た。

この映画もそうだ。
ソープランドで働きながら、男が逃亡しシングルマザーとして子育てをして、それでも充実感を感じててもおかしくはないのだ。

同じ男を好きになったのは、対立ではなくて友情の証にだってなる。
ロミー・シュナイダーとイヴ・モンタンが共演する「夕なぎ」では、ロミー演じるロザリーを二人の男が競い、最後には友情らしきものが芽生えるのだけれども、それを思い出した。

それに、専業主婦が突然、歌に目覚めて教会で歌ったり。
いろいろあって良いのだ。

たまに、自分で自分をこうだと決めつけていることに疲れることがある。

僕は北海道出身の女性と結婚したことがあるが、「あなたの前に進もうとか、上に上にという上昇志向についていけない」と言われた。
言われるまでもなく、自分だって同様にストレスで疲れると言いたくなったが、グッと堪えた。
内心、北海道出身のくせに狭い了見だなって思っていた。
他にも、いろいろあって、この人とは離婚することになったが、全然後悔も未練もない。

いろんなことを飲み込んでみれば良いように思う。
それで、前に進めることだってある。

ただ、この頃から、思ったことが口から次々と突いて出てくる人が苦手になった。
そしたら、仕事で、人の出鼻を挫いたり、威嚇したりする人間が、いかに小物なのか理解できるようになった。

北海道効果だ。

ところで、小夜子は2回あるセックスシーンで自分から積極的にアンダーショーツを脱ぐのだけれど、すぐに挿入するよう求めているのだとしても、その背景は何だろうと考えてしまった。
女性は、すぐ挿入するのはがっついてるようでダメとよく言うが、映画には尺があるからだろうか、スケベな観客向けだろうか、小夜子自身がセックスレスで溜まっていたからという演出なのだろうか、洋平にあれこれ思い出させないという気持ちの演出なのだろうか。
ごめんなさい。いやらしい想像が膨らんでしまった。
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