クアラ

スイート・マイホームのクアラのネタバレレビュー・内容・結末

スイート・マイホーム(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

『スイート・マイホーム』を観てきました。

真綿で首を絞められるような焦ったい不穏感がずっと続くサスペンス映画。

とにかく焦ったい。
もっと劇的な展開が起こらないか⁈とヤキモキする程に焦ったい。

ヌメヌメとした不快感とジワジワと進行する恐怖感はまさに《蛇》

身近に潜む恐怖の正体は決して【アレ】のせいだけではなく、円満な家庭の裏で不貞を働く夫の中に隠れたドス黒さにもあると思う。

妻の言動と劇中の夫の行動から分かる通りかなり外面の良い人間で、人前では家事を手伝い子煩悩な姿を見せるが、妻と一緒にいる時は椅子に座って何をする訳でもないし、妻の抱える不安感や問題を共感する訳でもなく我が事しか考えていない自己中心的な思考も伺える。
そして警察の「〇〇さんを悪く言うのはアナタだけなんですよ?」という言葉が、夫自身が蓋をしている過去の記憶の影響だと分かる。

笑顔の仮面の下に潜むドス黒い《蛇》こそ、この映画の根底であり、恐怖の正体であり、それを巧みに隠しながら本筋の物語を進行するからこそ【焦ったさ】を感じる。
だからこそあのラストなのだろう、と納得。

行間を読めば読むほど物語の深みと恐怖が増大する映画でした。
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