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王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター版のMasterYuのレビュー・感想・評価

3.2
30年の歴史がありながらも、人工衛星も打ち上げられない王立宇宙軍に所属するシロツグは、軍のダレ切った環境の中で、自身も怠惰な生活を送っていた。
ところがある日、街中で神の教えを説きながらビラを配る少女リイクニと出会い、次第に夢を取り戻し始めた。
取り潰しが噂される宇宙軍は、起死回生の手段として有人衛星の打ち上げを画策し、シロツグはそのパイロットとして名乗り上げ仲間たちを驚かせる。
様々な困難を乗り越え、遂に発射の日を迎えたが、そこに共和国軍が攻撃を仕掛けてきて・・・。

4Kリマスター版上映ということで、35年ぶりに劇場で観てきました。
後にエヴァンゲリオンを世に出すガイナックスが制作した作品。
庵野氏曰く、本作「オネアミス」を作るためにガイナックスは作られたとのこと。

庵野氏とガイナックスの近年のいざこざは、検索をしてもらうとして、本作においては、当時のガイナックスの「新しいことをしてやろう」「好きなものを作ってやろう」という気概が感じられるもので、構想5年、製作3年、巨費8億円投入などと大々的に宣伝されていたと記憶しています。
しかしながら興行的にはコケて、後年あまり取り上げられることもなかった作品が、こうして改めて劇場公開されるとは思ってもいませんでしたね。
画的には今観ても本当に細かいところまで手が入っていて、背景、戦闘シーン、ロケットの氷が剥がれる描写、群衆モブキャラの表情に至るまで、熱量が半端ない。
ところがストーリーが面白くない(笑)
人類の発展とそれによる弊害、或いは宗教的観点からくる人の業。
それらを絡めて綴られるストーリーを、アニメーションで魅せようとした姿勢は、当時とても先鋭的だったし、本作以降アニメーションでこの手の作品が作られていく切っ掛けとなったといっても過言ではないでしょう。
そういう側面でとても意義のある作品だと思いますが・・・。

80年代にウケるウケない関係なく、クリエーターがやりたいことやって作り上げた作品があったということを知る意味で、観ていない人は一度は観ておいてもいいのではなかろうか?という感じの作品だと思います。
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