あをによし

劇場版 Gのレコンギスタ V 死線を越えてのあをによしのレビュー・感想・評価

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五部作を時間を空けて見たためもはや陣営や思惑は何のことやらだが、戦場にいる彼らのごとく全体像を分からせようとしない気持ち悪さにのっかりせめてセリフ劇を愉しむことこそが富野作品の本懐。特にマスクの発言はキレキレで最高だったし、ルインとマニィの本筋ほったらかしメロドラマこそ、富野作品のキモだった。クリム・ニックのクレセント・ムーン復讐劇はバイク戦艦の悪夢を呼び覚ます。
シリーズを通して、そして他作品を含めて全体的に裸体が大したタブーではない描写が多かったのは、戦前の性のタブーがなかった日本にギリギリ生きていた富野由悠季による何らかの望郷か、はたまたオタクの半端な性欲への忌避感か知らないが、恋愛と作品の距離感が適切に収縮するのが気持ちよかった。
富野ガンダムは膨大な設定や不可解なコミュニケーションに振り回されて難解と思ってしまいがちだが、「放り込まれるということ」に対する向き合い方を問うコンセプトをテーマに見ると割と素朴なことをしているようにも思う。
しかしオチがあまりにも爺さんから若者への説教すぎる笑