ジェイティー

“それ”がいる森のジェイティーのネタバレレビュー・内容・結末

“それ”がいる森(2022年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

田舎に一人住む相葉君は農家として暮らしていた、ある日元妻と暮らす息子の一也がやってきてしばらく身を寄せることに、学校でも友達ができた一也はその友達と山にある秘密基地に行くと正体不明の怪物に遭遇するお話。

森というより小さな山が舞台のモンスター作品
相葉君VSエイリアンというこの字面だけでちょっと面白いと序盤の展開から生ぬるく期待してましたが、期待以上の事は起きずに終わりました。

多分モンスターパニック物を日本でやってみた・・・という具合ですが、
如何せんジャンルムービーの秩序だけをきっちり守ってい過ぎて凡庸な作品になってしまったと思います。
日本は国土の半分以上が森林だそうですが、広大な森林と人の住む境界線の不可思議さはもっと映像で映してもよかったのではないかと考えます
これまで多くのホラー映画を撮ってきた中田監督の得意とするところのはずが活かせてないのも残念なポイントかと。
得体のしれないモノの正体が開示されるのもワクワクと落胆のセットで映画の楽しいポイントですがその辺も遭遇する前に分かってしまうので始めからサスペンスを放棄しているのも良くない点です、もう少し「一体何なんだろう?」と観る者の興味を持続させてくれないと後半の展開に推進力を作れる場があってもイマイチ乗り切れなくなってしまうと感じました。

ゴジラのようなブランド物はともかくオリジナルのモンスターパニック物を現在成功させるのはアイディアとセンスが問われるジャンルで、それは海外作品でも難しいだけに、日本で試みただけでもほんの少しだけ好意的に受け止めました。

悪い点については枚挙にいとまがないのでこの辺にして個人的に良いところ
・相葉君が意外と普通だった(特に驚く演技が割とリアルでここは好感度高いです)
・荒唐無稽な説明を小日向さんに言ってもらうだけでも変さがちょっぴり緩和されているのは良いキャスティングだったと思います。
小日向さんが「気になることが一つあります」っていうだけでちょっとだけミステリー感があるのが凄いです、ほんとに一瞬だけ。
・冒頭のパンサー尾形が意外と上手かった、表情とか動きも割と役者していたように思います。有吉の壁とは違いきっちり死体は気持ち悪かったです。
・主人公の息子はともかく、子供が助からない点は良いと思います、捕食目的のために子供達を喰っている描写もあり、命は平等だという作り手の姿勢を感じました。

やりようによってはシャマラン監督のようなもの、またはジョーダン・ピールのような作品が作れそうな可能性を秘めているはずだと個人的には信じていますが、成功できるのはまだまだ先の未来ですね。