殺人か、救いか。
こんなの観たら、
『PLAN75』みたいな措置も、
やむを得ないんじゃないかと思えてくる。
介護する側も、される側も、
徐々に失っていく"人間らしさ"。
冒頭で綾戸智恵さんが言う。
"刑務所のほうが
よっぽど人間らしい暮らしができる"と。
中盤で柄本明さんが言う。
"人間らしく死にたい"と。
自分が、家族が、
人間らしさを失っていく不安と恐怖は
私にはまだ想像もつかない。
作中の言葉を用いて言えば、
私はまだ"安全地帯"の人間だから。
日々当たり前のように、
人間らしく生きているから。
でも、
"穴"に堕ちる日は突然やって来る。
その穴に堕ちたらもう二度と
這い上がれない。
自分の親がこうなったら。
そう思うだけでもう観ていられない。
涙が溢れて仕方ない。
"絆は呪縛"かあ。
キツイこと言うなあ…。
『人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい』
斯波が救いを求めたであろう
聖書の言葉。
斯波にとってはこれさえも、
"穴"となってしまったのか。
斯波と大友、
ふたりの言う"正義"が、
ゆらゆら揺れながら時折り重なる。