1937年『A Damsel in Distress』。
アリス嬢(ジョーン・フォンテイン)とジェリー(フレッド・アステア)とのロマンス映画。
アリス嬢を演じているジョーンの歩き方がお姫様歩き。両手首を外側に反らしながら、優雅に歩く。速く歩く時も歩幅を小さく歩き、決して大きな歩幅にならない。これは映画の中の演技とはいえ、ジョーンは小さい頃から、お母さんと義父に歩き方を訓練されてきたので、それが演技にも役に立っているのかもしれない。
ジョーンは演じる役柄によって、表情や仕草、立ち振る舞いはもとより、声のトーンや歩き方までも意図的に変えている。例えば『Suspicion(邦題:断崖)』では大きな歩幅で歩くシーンがあるけれど、この映画『踊る騎士』では小さな歩幅で歩く。ここでは一貫してお姫様歩きで、声は稀に低くなるものの、概して高いままで維持されている。ジョーンのお姫様歩きはこの映画で初めて観たけれど、その動きは優雅で、ジョーンの美しさと相まって、ジョーンに非常によく似合っていて、うっとりする〜ッ💕
特に、フレッド・アステアと踊るシーンのジョーンの動きは、踊りの中でジャンプするにしても、ふんわりとした動きで、「柔らかさ」と「優雅さ」を感じさせ、ジョーン全体とその雰囲気が、まるで妖精のようだった。アステアとの踊りの場面は目が釘付けになった…。ジョーン、ダンス上手いじゃん!!
役柄的にも、貴族の令嬢なので、ジョーンによく似合っていてしっくり来る。アリス嬢は貴族だけど、後のジョーンの役柄である『Suspicion』のリナや『This Above All(邦題:純愛の誓い)』のプルーデンスのように「高貴さ」が前面に押し出され、観る者を圧倒したり、近づき難く遠い存在と思わせたりする感じはない。「気品」がありつつも、どこか少女的で、「純真さ」と「可愛さ」、「柔らかさ」、「親しみやすさ」が雰囲気として出ている。
ジェリーに対して叩いたことを謝りに行った時に、ジェリーに自分の気持ち(好意を抱いていること)を分かってもらおうと迫るアリス嬢。この時のジョーン、最高に可愛いーーーッ💕!!! 仕草、仕草ッ!!表情、表情ッ!!
リナやプルーデンスとは違う、可愛さ全開のジョーンでした。
アリス嬢とジェリーとのロマンスを描いたこの映画は、明るく、希望に満ち、笑いと楽しさがあり、観ていて心が満たされると同時に、心が洗われるような、そういった古典的美しさがある。
1937年にこのような完成度の高い映画が作られていることは、当時のアメリカの圧倒的な文明レベルの高さを感じさせ、驚かずにはいられない。