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ゴールデンカムイのRのネタバレレビュー・内容・結末

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

映画館で友人2人と鑑賞。

2024年の日本の作品。

監督は「HiGH&LOW THE WORST」の久保茂昭。

あらすじ

激動の明治後期、北海道。莫大な金塊を奪った男「のっぺら坊」はその在処を記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。そんな折、鬼神の如き戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人の杉元佐一(山崎賢人「キングダム 運命の炎」)は野生のヒグマの襲撃から助け出したアイヌの少女アシリパ(山田杏奈「山女」)と共に金塊を追うため、行動を共にすることに。そこに鶴見篤四郎中尉(玉木宏「沈黙の艦隊」)率いる大日本帝国陸軍「第七師団」や戊辰戦争で戦死したはずの新撰組「鬼の副長」土方歳三(舘ひろし「鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成」)も加わり、始まる三つ巴の埋蔵金争奪!サバイバルバトルがいざ始まる!!

元々の漫画原作はすいません💦全く興味がなくて読んでない。キャラクターはそれなりに惹かれるものがあるものの、そもそも北海道を舞台にした埋蔵金争奪ってキモの部分が全然惹かれなくて、当時流行っていた流れに乗り遅れたこともあり、未だに原作は未読。ただ、そんな自分でも劇場で足を運ぶたびに大体予告の序盤で散々っぱら本作の予告を流されたもんだから、そりゃ予告自体の出来も良くて気にはなっちゃいますわ。ということで評価もかなり良いし、原作の美味しいところを抑えてくれてる期待も込めてミーハー全開で鑑賞してきました。

結論から言うと、映画を観ても…うーん、個人的にはイマイチ乗り切れませんでした。つか、映画がどうこうというかお話がやっぱ刺さらんなーという感じ。

お話はあらすじの通り、北海道を舞台にした広い意味での「お宝争奪もの」といったら良いのかな?

まず、予告でも薄々感じていたんだけど、カメラワークが最近の邦画の中でもずば抜けて良く感じた。北海道の雄大な大地と降り積もる雪で覆われた雪原がクリアな画質で映し出されていて、ロケーションの美しさと相まって格別。

また、ロケーションといえば北海道を舞台にした特性がとにかく生きていて、アシリパたちアイヌ民族描写や風土、風習なんかもそうだし、序盤のヒグマたちとの戦い、それと終盤における「北のウォール街」と呼ばれていた(らしい)「小樽」の活気などまさに「ならでは」の要素がふんだんでこれは大作映画の舞台だてとしてはとにかく新鮮だと言える。

そして、その中で錯誤する登場キャラクターを演じたキャスト陣。

まずは主人公、「不死身の杉元」を演じた山崎賢人。もう個人的には「キングダム」シリーズの好演然り、彼個人の人間性込みで若手の中でも1番信用できる俳優さんかもしれない。それくらい彼の作品は一つ一つ真摯に取り組んでいることが伝わるし、だからこそ応援したい!で、本作、ぶっちゃ公開前は「似てない」という意見が多かったらしいけど、原作未読の俺としてはそれはそれとしてとっても良かったと思います。ここぞ!という場面では「俺は不死身の杉元だぁ!」という決め台詞を吐くのはドスが効いてて意外と良かったし、冒頭の戦争シーンでの壕内での三角飛びから始まる機敏なアクションとそれを裏付ける銭湯シーンでの肉体美は「キングダム」での実戦が生かされている感じですごく良かった。また、コメディシーンにおけるボソッと吐くセリフ一つ一つも彼自身声が良いから面白さを上がる効果を持っていてハマり役だったのではないかな?

そして、そんな杉元の「相棒」となっていくヒロインであるアイヌの少女アシリパ(実際はリが小文字)を演じるのは出ました!山田杏奈ちゃん!!個人的には若手女優の中でも1番注目している女優さんなので、遂に大作に抜擢されたか!と感慨深いものがあるんだけど、漫画だと映画よりかなり若い設定らしいので、その点でも元々の童顔と相まってハマり役と言える。まぁそれを抜きにしても演技面は折り紙付きなので安心して見れるんだけど、どうやら役作りに当たってスマホを自撮りして練習したらしい「変顔」も描写としては僅かながら普通に決まってたし(ただ、可愛すぎるが!)、耳慣れぬアイヌの原語もアクセントは正確かどうかわかんないけど流暢に話していて違和感がない(つーか、彼女が話すからこそアイヌの言語がとってもキュートに聴こえる不思議)。立ち位置としては白いオオカミ、レタラ(ラは小文字)を付き従えている野生少女という、作中でも1番ファンタジーで現実感がないキャラクターなんだけど、その点でも透明感のある感じと相まってすごく説得力がある配役だったのでは。

他にも若手からクセメン、名バイプレーヤーに至るまで多分作り手が吟味したことが窺える納得の配役が勢揃いしているんだけど、やはり目を見張るのが敵対勢力のトップを張る2人。

まずは、「第七師団」の鶴見中尉を演じた玉木宏!近年益々存在感を増してる印象なんだけど、まぁ今作におけるこの配役は完璧と言っても良いのではないだろうか。漫画原作の方をチラ見した俺でもこれは似てる!と思わせるルックなんだけど、戦争で前頭葉を負傷して保護マスク越しにボルテージが上がるとマスク越しに脳汁が垂れてきたり、みたらしの串を目を見開いてガジガジするところとかの「キモさ」もちゃんと表現できていてインパクト抜群!!今作では不敵に暗躍するという印象で活躍としてはあまりないんだけど、それでも登場するだけでインパクトもあるし、ワクワクさせるキャラクターを好演していた。

また、あの新撰組の「鬼の副長」こと実在の人物、土方歳三を演じたのは舘ひろし!!舘さんに関してはもう渋すぎる!!その一点に尽きる!!そりゃ元々は石原プロの看板役者だから男前なんだけど、白髪と和装束でビシッと決めた侍姿もめちゃくちゃ様になっていて、愛刀を手にして、嘶く馬にまたがりハイヨーしてる決めショットがとにかくカッコ良すぎた。

まぁ、この2人に関してはアクション面は「今作に置いては」意外と控えめで本格的な活躍は次作以降になるのかな?

で、忘れちゃならない個人的な今作のMVPは脱獄囚の1人、「脱獄王」白石由竹を演じた矢本悠馬(「ゆとりですがなにか インターナショナル」)!!彼も若手の中ではコメディリリーフポジでメキメキとその存在感を上げている役者さんで好きなんだけど、今作でもそれは健在。脱獄王の名に恥じぬ追ってを華麗に躱しておちょくる様とか、ピンチに置いても意外と余裕を持ってテンションあがっちゃってる感じなんかもすごく良かった。あと、杉元を助け出す場面での檻をローションを塗ったヌメヌメの体で関節を外しながら貞子みたいに這い寄ってくる感じのなんともいえぬ気持ち悪さもインパクトがあって良かったなぁ。

そんな感じでキャラクターに関してははっきり言って原作未読の俺から観ても文句なしです。みんな良かった!

ただ、なんつーか、やっぱりそのお話部分に乗り切れない!原作読んでないからわからないけど、多分原作初期の大体の流れは一緒に行った、原作は読んでないけどアニメは見てた友だち曰く割と忠実らしいから、そこら辺は「一作目」らしく抑えるべきポイントは抑えて丁寧に編集しているのは伝わってくるんだけど、まぁ、キャラクターを登場させるだけであんまり動きがない。ヒグマとの戦闘シーンも「レヴァナント」観ちゃってる身からするとなんかちょっと地味に感じちゃったし、その間に挟み込まれる北海道サバイバルと「アイヌ」の風土描写の尺が長くて、かと言うとクライマックスの小樽での馬橇シーンは迫力があったけど、うーん物足りない。まぁそここそが本作のキモ!と言っちゃえばそれまでなんだけど、やっぱ個人的にはもっとアクションが欲しかったかなぁという感じ。

まぁ視覚面では言うことなしだし、作品の質はめちゃくちゃ高いと思うので、これは映画としてどうかというよりも、そもそも原作が個人的に合わないのか、それかそもそも問題、本作が実写化に向いてないんじゃ…?と思ってしまったというのが正直な感想。

ただ、まぁあくまでも今作は「一作目」。エンドロール後のシーンでは、その「引き」として、新キャラが出るわ出るわ…。「キングダム」でもここまであからさまじゃないと感じるほどの「引き」で幕を閉じてて、作り手続編作る気バリバリというか、めちゃくちゃ強気だな…ww

まぁ、この一作だけで判断できない部分は大いにあって。もちろん現在観た人の評価も上々だし、多分続編もいつになるかわからないけど作られるんでしょうな!今後の引き含めてポテンシャルはものすごくある作品なので、もちろん原作ファンの方々は観る価値はあると言える作品だとおもいます。

山崎賢人ファンとしては「キングダム」と交互に続編作ってくれるとありがたい笑笑。
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