ひたる

ゴールデンカムイのひたるのネタバレレビュー・内容・結末

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

全てにおいて原作に忠実。だからこそ漫画の下位互換という印象。原作の宣伝としてはキャスティングの時点で十分だが、映画作品としての面白さでは100%の魅力を発揮した原作と比較してどうしても劣ってしまう。
本筋はそのままに細部を映像的・実写的表現に落とし込むのが「作品として」良い実写化だと思う。

配役は良かった。特に杉元、アシㇼパ、鶴見中尉の3人。
山崎賢人が"杉元佐一"だった。キャスティングの疑念を吹き飛ばす再現度。普段の爽やかな俳優像とは正反対の泥臭いキャラクターで顔立ちも似ている訳ではないからきっと雰囲気を寄せるのが上手いのだと思う。
アシㇼパは原作から出てきてる、絶対。あれは間違いなくアシㇼパだった。最初は汚れのない綺麗すぎる衣装でコスプレっぽく見えたが、動いて生地の白がくすんでいくことで違和感も無くなっていった。
鶴見中尉はアニメの芳忠さんボイスの印象が強すぎるが、玉木さんの少し嗄れた通る低音もかっこよく、新たな"鶴見中尉"としてすんなり受け入れられた。

顔芸は再現する必要なかった。あれは漫画ならではの誇張したパーツが面白いのであって、実写で見せられても冷めるだけ。金を払って変顔を見せられるこちらの立場にもなってほしい。
アクションも好みではなかった。尾形戦は強者同士の間合いの測り方が緊迫感を生んでいて良かったが、他のシーンはただ勢いがあるだけ。緩急がなく終始忙しないから観ていて疲れる。「るろうに剣心」のような「静と動」のアクションが観たかった。

以上のことから今作は、原作への窓口を目指して制作されているように感じた。
「実写映画化したゴールデンカムイ」を楽しみにしていた私にとっては、媒体ごとの得手不得手をガン無視して原作に忠実を突き通した今作は合わなかった。
ひたる

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