Ryoma

希望と絶望 その涙を誰も知らないのRyomaのレビュー・感想・評価

3.7
日向坂46ドキュメンタリー映画第2弾。前作では結成後の挫折や苦悩、そして改名・デビューからトップアイドルへと変貌を遂げる道筋を寄り添って描いたが、今回はコロナ禍に巻き込まれ、その中で傷つきながらも奮闘し、延期を重ねた約束の地「東京ドーム」公演へ辿り着く姿をメインに描いた。

「希望と絶望」という副題が意味する部分は見れば伝わってくるとは思うが、そこまで仰々しいものではないので(本人達にとっては辛かったろうが)、言葉の強さを理由に見るのを躊躇うみたいなのはなくてもいいのかなと個人的には思う。

ドキュメンタリーを見る前からも体力的に追い込まれているのではと画面から伝わってくる時期があったが、やはり恐れていたことは現実として起こっており、答え合わせのようだったなというのが本作で受けた印象。
メンバー本人達は受けた仕事を100%で応えるような人達ですから、マネジメント側が上手くコントロールしなくては絶対潰れてしまうよなと。あちこちオードリー的に言うとHPは日々回復できてもMPは日々消耗をし続け、いつか心から崩れてしまう。
アイドル文化に限らず消耗されてしまうカルチャーというのを好んでいていいのか、自身にも深く刻まれる部分がありました。健康的な活動というのは目指せないものなんですかね。。。

メンバーにフォーカスを当てると前作でも印象的だった佐々木久美さんのキャプテンシーの高さに今回も目を引かれましたが、今作ではキャプテンだけではカバーできない部分を陰ながら支えていた渡邉美穂さんのグループ愛に心を打たれた。持ち前の明るさや周囲を常に気遣い、仲間を第一に考えている姿は勿論のこと。何人も同期が休養をしていく中で彼女がその手を離し続けなかったからこそ、今このグループが22人という形を守り続けられたのかなと感じました。特に東京ドーム公演直前で起こってしまった出来事の姿は心に深く突き刺さるものがありました。

そんな彼女がいち早く卒業という道を選んだのも、22人という素敵だが重みのある言葉の縛りを解放させ、アイドル以外の他の道もあるということを示したのかなと深く考え込んでしまったりもしました。

そして休養から帰ってきた小坂菜緒さんの身体を労りながらもセンターを務め、ステージ上でパフォーマンスをする姿も忘れられません。普段はどこか不安げで儚い表情を浮かべているにも関わらず、いざステージに立つと見るものを一瞬で引き込むような輝かしさに魅了されてしまいました。

小坂さんに限らずメンバー一同がこの先、この作品であったようなHP・MPを削られず、健康的に笑顔で活動していき、更にトップアイドルへの道をひた走っていって欲しいです。
だって何とは言いませんがお互いに高みでまた作り上げていった道が交差したら絶対面白いじゃないですか。そんな未来が見たいと期待しちゃうんですよ。
Ryoma

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