葉月

ノック 終末の訪問者の葉月のレビュー・感想・評価

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
3.3
7回ノックが響く時、終末へ導く四騎士が現れる黙示録を下敷きに「世界のために家族を犠牲にするか、自分たち以外の全世界の人間を犠牲にするか」を選ばせる最悪のトロッコ問題密室スリラー(※津波シーンはご注意を)

かなーり!シャマラン監督への贔屓があると自覚してます……が!個人的に好みの作品でした(原作とラストがちがう、前評判が散々なため、ハードルを下げていたのもある)

まず密室で心理的に追い込んで選択肢を狭めさせるワンシチュエーションスリラーという点が好きです。演劇とかにしても面白そうだな〜とワクワクしました。
恐怖演出、カメラワークもシャマラン作品の良さが出ていて最高でした(ストーリーはともかくここはもっと評価されて良くないですか?)

また原作が2018年でコロナ禍以前であることを踏まえると、本作はまた別のリアリティでもって見ることができるのも面白かったです。陰謀論者の狂カルト信者なの?それとも…?という不穏さが高まりましたね。

まあ、たしかに一本道のストーリーで分岐がなく(本当にトロッコ問題の二択のみ)大きなどんでん返しもないわけですが、私、個人としては「血の繋がらない子どもの未来」に全てを委ねる選択だったという点がすごく好きです。

シャマラン監督もアジア人の養子がいてその点に自身を重ねたということですし、だから原作からオチを変えたのだろうなと思いました。

残念ながらそれによりゲイのカップルの決断という点は弱まってしまったかもしれません。でも本作はカミングアウトしている当事者が主人公たちを演じており、キャラクターの心情の深め方が段違いだなと感じました。当事者が演じる意味について、改めて考えることができてよかったです。

あと、個人的にルパートグリントもめちゃくちゃ良い(俳優としておいしい)役だなあ、と思って非常に楽しみました。

毎度のことながらひょっこりシャマランも大好きです。
葉月

葉月