たいち

シニアイヤーのたいちのレビュー・感想・評価

シニアイヤー(2022年製作の映画)
4.8
前半は過度なポリコレを揶揄するような描写が多くて、「言いたいことは分かるけど、それって特権を持っているからできることじゃん💢」と思っていたら、最終的にはちょうど良いバランスで落ち着いていた。

俺はかなりリベラル寄りだし、プロムのこともめちゃくちゃグロい行事だと思ってるけど、お祭りごとが大好きだから、何やかんや楽しむだろうな。いや、きっと誰よりもやる気を出すわ。絶対に目立ちたいよ。

てか、プロムに誘われないことに悩む人がたくさんいる一方で、クイーンになれるかなれないかで悩む主人公ってどれだけ特権側の人間なんだ。「かつてイジメられていたけど、努力してあの地位を手にした」ということで、そこら辺を上手く誤魔化していたあたりが姑息な演出だよね。最終的には人気よりも自分を大事にしてくれる友達が重要だと気づいていたけど、あくまで一度人気者になった人間が出した結論だからね。一度もスポットライトを浴びられない人は、そのことに気づくチャンスすら無いのに。

と言いつつ、努力をすることもイベントを楽しむことも何一つ悪くないんだよな。そして何より、自分はプロムに参加できるということを信じて疑わず、その上で目立ちたいと思っている俺自身がかなり特権側の人間だわ。プロム廃止なんて言われたら、絶対にキレると思うし。うわー!何が正しいんだ?分からん!だからこそ考え続けるしかない!

終わり方がたけし版『座頭市』と同じでテンションが上がった。もう楽しそうに踊っていればオールオッケーみたいなところある。
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