Kyo

新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まりのKyoのレビュー・感想・評価

-
近頃、一日一日年老いていく自身の肉体と存在に恐怖を抱いている。
予告映像にあった「僕らの体の生物学的な時間との闘いだ」というフレーズに共感し、鑑賞に至った。

本作品では、コロナ禍での制限された時間と、肉体的な限られた時間との狭間で 葛藤するバレエダンサーらがドキュメンタリーとして描かれていた。
鈍った身体の感覚を取り戻そうとする焦燥感や、バレエダンサーとしてのアイデンティティーを失いそうな恐怖とのせめぎあいが非常に伝わってきた。
観客が居てこその「作品」やモチベーションなど、ダンサーらの叫び。
パフォーマティビティーがアイデンティティーを形成していることを、改めて認識させられた。

バレエダンサーとは、儚くも美しく、どこか寂しくなる。肉体のピークを全身全霊で表現する上で、観客も感じるからだろうか。
Kyo

Kyo