キューブ

ボンボン BOMBONのキューブのレビュー・感想・評価

ボンボン BOMBON(2004年製作の映画)
3.5
 メインのキャラクターを演じるヴィジェガス、ドナード共にまったくの素人である。実際に20年間ガレージで働いていたヴィジェガスをスカウトし、ドナウドに至っては映画の中の仕事と全く一緒。素人なんか使って大丈夫なのか、という意見もあるかもしれないがそんな心配はご無用。それどころか素人だからこそ出せる味がここにはある。
 前半はひたすら哀愁漂う雰囲気に満ちていて、いかにもインディーズ系の映画らしい演出が目立つ。これは皮肉ではない。独特の「間」を設けることにより、観客から笑いを自然と引き出すことが出来ている。
 中盤からボンボンをドッグショウに出すための訓練が始まるのだが、ここからいつの間にか映画の雰囲気が変わっている。ひたすらテンションの高いドナードを交えたロードムービーに様変わりしているのだ。ここからは出演者それぞれの持ち味が存分に引き出されている。脇役に至るまで存在感がある。一つ残念なのは個性の強いキャラクターが多いせいで、どうしてもいわゆる「優しい人」の主人公ヴィジェガスは影が薄くなる。そしてメインにくるはずのボンボンとの絆がどこかへ行ってしまっている(最後の方でもう一度描かれるが)。
 だが映画の締めくくりは上手いことまとまってると思う。希望を感じさせながら終わらせるところが非常に良い。
 傑作とまではいかないが、見ると優しい気持ちになれる。そんな映画だ。
(11年11月27日 BS 3.5点)
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