りっと

傍観者のりっとのレビュー・感想・評価

傍観者(2022年製作の映画)
3.8
子どもが生まれて父親となったロジェ。ある日職場に向かう道中で暴行事件を目撃するが、何もできずにその場を立ち去った。その後、事件の内容がTVやネットで取り上げられるのだが…

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子どもの誕生に周囲が祝福する様子が描かれていますが、それ以上に衝撃的な事件が起こることでその幸せが取るに足らない出来事にみえてしまう…何とも重圧感に苛まれる13分間でした。

前半では幸せが絶望に覆い被さりなんとかなだめようとするものの、そう上手く誤魔化し通せるはずもなく、後半に進むに連れて保っていた均衡が崩れていく様を感じました。

(例:今にも壊れそうなボロボロの螺旋階段を慎重に降りようとするけれど、ある所で板が外れて階段もろとも転げ落ちてしまうような感じ)

もしかするとジャケットもそういったイメージが少なからず込められているのかも…?ロジェが頭を抱えている様子が次第に小さな粒となり、存在が消えていくようにも見える気がします。
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