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ファンタスティック・プラネットの文字のレビュー・感想・評価

4.5
最高にカオスなSF映画だった。
まず全体を通して作画がシュルレアリスム調で素晴らしい。
細部まで何らかのメタファとなっているのではないかとても考えてしまった。
例外化・主権者・国家理性・原罪など哲学的要素もはらんでいる。人間と比べてはるかに巨大なドラーグ人が、その異形とも言える容姿にも関わらずリヴァイアサンのように見えた。すなわち超越的な意味での主権者である。彼らは人間の生を自由に左右する。生殺与奪の権利を握っているのである。人間の生を規定する=例外状態について規定する主権者と言えるだろう。
冒頭のシーンなど、所々でシーシュポスの神話が想起された。この世界の不条理性をうまく表現している。
さらに、この作品は見た者のモラルの底を抉り出す効果を持っているのではないか。すなわち、動物性という概念がどのような倫理的位置にあるのかということである。ドラーグ人は苦しむ人間の訴えを拒否するが、彼らが否定するものとは正確には何なのだろうか。人間の動物性を否定しているのだろうか。ドラーグ人は、人間の目のなかに何を見るのか。
余韻に富む作品と言える。
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