Toko

夜明けまでバス停でのTokoのレビュー・感想・評価

夜明けまでバス停で(2022年製作の映画)
3.5
え〜💦実際の事件にもっと寄り添って欲しかったな。板谷由美さんも美し過ぎたし、なんかいろいろ違うんじゃないか?
特にバクダンとか全然あり得なくて、この映画作った人、何でこんな最後にしたのか、分かってないなぁとがっかりした。これで彼女を何かから救ったつもりか?

嫌われ松子のレビューにも書いたけれど、
(彼女は私だ。)と沢山の女性たちが心を痛めた事件を、こんなテロリストにしないで欲しかった。
行政や誰かに助けてもらえることを、知らないわけじゃなかったと思う。
明日、何かが変わると漠然と信じて毎晩バス停で眠りについていたはずだ。
バックパッカーやヒッチハイクが流行っていた頃、旅の途中に路上で若者がまるくなって眠っていても「頑張れよ」と微笑ましく見守られていたり、
ウチに来ないかと声を掛けられ温かいスープをご馳走になりながらおしゃべりに花が咲く、なんていう事が実際にあり、それは珍しくなかったような気がする。
差別も多い時代だったが、その反面、他人に対して躊躇なく手を差し伸べる人も今よりも多かったのでは無いだろうか。
実際の彼女は若くなかったし、コロナ禍だった。最後8円しか所持金が無く、いろいろな意味で弱者だったが、そんな平和な昭和時代には助けてもらったor助けてあげた経験があったのではないだろうか。
彼女は決して全てに絶望してはいなかったと私は思う。
ホームレスの様に、開き直ってダンボールに横になって眠ることをしなかった。それは輝いていた過去を持つ美しかった女性の、(私はそちらの人では無い)というプライドではなかったか。

白馬に乗った王子様が現れる、なんてフレーズがあった。出会いはいつも奇跡的に訪れる。プリティウーマンという映画や白雪姫の物語のそのように。
美しかった彼女は、若い頃に大恋愛をしていたかもしれない。その時の彼が、大金持ちになっていて、偶然私を助けにきてくれないかなぁ…などの妄想をしていたかもしれない。来る日も来る日もそうやって、寒さや寂しさを乗り越えていたのではないか。
今は辛いけれど、必ず笑って語れる過去になると信じて微笑んでいた。

そんなのが観たかった。
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