A

窓辺にてのAのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
4.0
言葉を紡ぐ人たちにとって、端的な言葉は簡単に出てきそうだけど、感情を発するとなると、もやもやした感情を搾るように丁寧に紡ぎだしていた。
そしてうまく言葉がまとまらないと「よく分からないんだけど」と紳士的に、大切に、それは、分からないという感情も受け止めてほしいからこそ、言っているようだった。
全ての感情に理由をつけて、自分で言葉にしてしまうと、受け取る側に想像させる力をも奪ってしまうのかもしれない。
手に入れるまでは、手に入れるという目標がある。
手に入れると、誰かに取られてしまうのではないか、と不安にもなる。
だから、不安にさせて、相手を試してみたり、相手の行動で、自分に正直になれたりもして、まあそれが手放して分かる後悔というものなのだろうけど。
パフェを食べたいからパフェを注文するように、その未来、食べなかった方が良かったかもという未来のことなんて、注文する時点では、微塵も考えないのだ。
たしかに好きだった。
好きだったけど、好きじゃなくなる未来など想像はできないものだ。
それでも、言葉を形にすることは難しくても届けたほうがいいのかもしれない。
でもあえて、伝えないこともバランスを保つのに必要なことも分かる。
そしてパフェを頼んで分かる後悔のように、後悔することも悪くない。
A

A