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3人のキリストのSSDDのレビュー・感想・評価

3人のキリスト(2017年製作の映画)
3.8
■概要
キリストを自称する妄想型統合失調症患者を3人集めて治療を行おうとする医師と患者の実話からなる作品。

■感想(ネタバレなし)
まだ精神病に対する治療がロボトミー、電気ショックと強い薬漬けにするだけだった時代に、患者に寄り添い、真の治療法を探るというのは異端であり理解を得るのは難しかったはず…間違いなく現代の医療に影響を与えた人である。
現在でも日本では重度の精神疾患の患者に対しては自殺をする気力も湧かないほど強い薬漬けにして思考を奪うという方式を取る。結局は赤の他人が人を救うなんてできないのかもしれない…。
純粋な心で人と向き合う様を描き出した素晴らしい作品でした。











■感想(ネタバレあり)
ジョゼフが神の視野を見るために高いところに登りたいと言った時点で自死を考えていることは明確だったが、人の気持ちを理解する能力を持ち合わせない所長に腹が立つ。

それにも関わらずジョゼフは所長の罪を自分の死をもって贖うという発想がすごい。
自暴自棄になり味方がいなくなったことで壊れて自死を選んだのだが、キリスト教の禁忌の自殺に対して正当化した上で所長を許したのだから。

こういった精神的非健常者の人が洞察力が鋭かったりするのは自分が傷つき、共感を得たかったり、自己防衛のために危険な人間を避けたいから感覚が強くなるのかもしれません。

最後のテロップでこの医師が言っていた、彼らに癒やされたのは私だと。治療する側が本質的な優しさや寄り添う気持ちを持たなければいけないと相手に思いやる事で逆に癒やされたのでしょうね。

初めはコメディなのかどういう作風かわからず観ましたが、素晴らしいヒューマンドラマでした。
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