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カラオケ行こ!のスワットのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.9
2024年 劇場鑑賞9本目
和山やま先生原作漫画の「カラオケ行こ!」を山下敦弘監督による実写映画作品。
歌が上手くなりたい祭林組若頭補佐の狂児(綾野剛)と成長期の声変わりに悩む合唱部部長の岡聡実(齋藤潤)中心に繰り広げられるコメディドラマ。

原作は未読。予備知識もほとんどなく鑑賞しに行ったが、結構席も埋まっており幅広い年齢層のお客さんが散見されたのでびっくりした。
かなり評判も良かったのは耳に入って来ていたので、ハードル高めになっていたが評判通りの面白さに感服。

異質な設定でもあるので、自分にハマるかハマらないかで評価が分かれる作品でもあるなと感じた。僕自身はかなり作品のノリに乗りながら観れたので最後まで飽きず好感触。
最初から最後までニヤニヤしてしまう雰囲気が自分には合っていたかなと。

驚いたのが、殆ど場面場面のBGMがなかったこと。カラオケボックス内の狂児と聡実のやり取りだけを切り取ってみても、BGMが無いのでこちらにも緊張感が伝わって来る。だがどこか哀愁漂う狂児と多感な時期を過ごしている聡実の様子に感情が持っていかれそうになる。
この絶妙なバランス、空気感がこの映画のミソですね。

視点的には聡実を中心に描かれているので、狂児のパーソナリティの部分はあまり深掘りされていない様に感じたので(原作では描かれているのだろうか?)、そこも並行的に描かれていれば尚良しでしたね。

個人的ツボシーンは聡実が愛について考えるシーン。
鮭の皮をあげることが愛なのか?と真剣な面持ちで見つめる聡実の表情が面白い。
このシーンだけでも聡実が感受性豊かな少年であることがわかります。
そんな聡実だからこそ狂児との異質な関係性を築いていけたのでしょうね。

今回オーディションを勝ち抜いた齋藤潤君も素晴らしかったですが、やはり綾野剛が良い!!
元々こういう役柄が合っているのでしょう。「紅」歌ってる時とかは演技なのか?!と疑ってしまう程でした。
関西弁も違和感なく聞こえて、ノイズにならずで良かったです。

後日談として「ファミレス行こ」もあると鑑賞後に知ったので、是非こちらも実写化して欲しいですね。
4年後が舞台とのことなので、キャストはそのままに実年数も4年後に合わせて公開して欲しいな〜。
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