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レジェンド&バタフライのタクマのレビュー・感想・評価

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)
3.7
東映70周年作品として木村拓哉さんを織田信長役にキャスティングした本作。シュミレーションゲーム「信長の野望」をプレイしたのをきっかけに浅く緩くながらも歴史好きになり大河ドラマ等にも手を出す様になった自分としてはそこそこに楽しみにしていた映画です。
元々は敵同士のかりそめの同盟を結ぶ為に婚姻となった信長と帰蝶。今までもこの二人の関係性を描いた作品を扱った作品はたくさんありつつも夫を支える妻と妻の支えを受けて天下を目指す信長っていう純粋な夫婦としての二人の姿にフューチャーした作品はあんまりなかった分そこは新鮮に感じますし逆に行ったら戦国と言う覇権を巡る戦いを走り抜いた信長の人生を映画にするならこれしかないっていう手段でもあります。
時に激しく時にコミカルにぶつかり合う信長と帰蝶の夫婦。
群雄割拠の戦国の時代に翻弄されながらもその時代に生きる武士の妻としての強い自覚と高い器量を持った帰蝶は信長を支え信長もそんな帰蝶の叱咤激励を原動力に天下統一へと駒を進めて行く。広大な領土と強い権力を得た結果信長の心は少しずつ壊れていきますがそれでも彼に寄り添う事をやめない帰蝶の姿に戦国と言う命と命をかけた戦いをしている世界だからこそ生まれる夫婦の愛情を強く感じてこの辺りは凄くシンプルにぐっと来ました。
ただだからこそ信長と帰蝶の心境の変化はもう少し深く掘り下げて描いてほしかった気がします。3時間っていう長い尺の中でもやはり限界はあるんだろうけどなんでそんなに心が変わったの?って思っちゃうくらい場面の切り替えが唐突。2人の周りで変わっていく情勢の描きかたが割りともっさりしてる分ちょっと冗長に感じる場面も。
とは言え本能寺の変での殺陣場面は流石の大友監督でしたし戦国大スペクタクルと言うよりも戦国の世に生きた一組の夫婦の物語として描き抜いた着地には賛です。
人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり
信長が本能寺の変で最後にまった舞だと言われてますが実際の信長の最後も自身の愛する人に思いを寄せて果てたのか、それとも武将らしい燃えるような激しい散り様だったのか?そんな事を想像して見る最後だった。
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