ハヤシ

Dr.コトー診療所のハヤシのレビュー・感想・評価

Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)
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母と。いつも空いている映画館が今日は混んでいて、観に行った時間帯もあってか年配の方が多かった。志木那島で16年の月日が流れたのと同じように、ここに来ている人たち一人ひとりの16年も流れたのだなと思うと、もうそれだけで感動してしまった。スクリーンで見る自然の雄大さにも。

「"医者じゃないから救えなかった"と言うなら医者にならなくて良かったよ」は、救えなかったことがある医者が言うからこそ重い。"医者じゃないから"を逃げ道に使えない。それはある意味で当たり前のことだけど、では自分にはその場に立つことができるか、と想像するだけでも気が重い。

髙橋海人さんの判斗くんめちゃくちゃ良かった!髙橋海人さんの演技大好き。分かりやすくチャラついててダルそうにしてる若者でも島の人たちの剛洋の歓迎会を馬鹿にするでもないし、しげさんのウザ絡みになんだかんだ付き合うし、まりこさんからご飯のお盆受け取ってちゃんとありがとうございますいただきます言うし良い子…「人でなしだと思った?僕のこと」があんまりにも良くて、数分引きずった。「自信がないだけじゃないですか?」とか言われても無理なもんは無理だし、あそこで無理って言えるのしっかりしてるよな判斗くん。本当に判斗くんの言う通りなんだよ…コトー先生がスーパーマンなだけ…ヒーローに頼りすぎるとヒーローに何かあったときにおしまいになってしまう…

そもそもこの作品を、「コトー先生の力で全てが丸く収まること」を期待して観ているところがあるから正直なところストーリーにはそこまで期待していないというか、そういうもんだよねという前提で観ていたんだけど、そこに一石を投じる判斗くんの存在が本当に良かった。

もうちょっと早くから準備しておけばなんとかなるんじゃない?(台風対策とか)みたいなこといっぱいあって、でも実際の離島のことを知らないからそう思ってしまうんだよなきっと。過疎高齢化の現実が分かっていないから。自衛隊も早くから準備しておいてくれたらさ〜とか。実際人が少ないところにそこまでリソースさけるか?という問題になってくるのね…

という感じで、離島医療の厳しさについて考えさせられる映画であったにもかかわらず、パンフレットの「離島医療について医師が語る〜」的なコラムの内容がその人の武勇伝みたいな感じで、なんでそうなる…?になった。

剛洋役の富岡涼さんが戻ってくるのとか、神木くん海ちゃんが出るのとかは知ってたからあれだったんだけど、前田公輝が出るのは知らなかったからハッピーサプライズでした!
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