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イチケイのカラスのSTAYGOLDぴあ映画生活のレビュー・感想・評価

イチケイのカラス(2023年製作の映画)
3.8
それが大事
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村社会の中で殺される個の存在。
原発ムラ等の給付金乞食の汚らしさと限界都市の絶望。

なかなかに今のテーマを拾いあげて展開してるかなと思います。まあ、TVではスポンサー様の関係で扱いづらいテーマだから、映画で弄るのは良い選択です。

月9の法定物は割とベーシックな創り。
本作も安心安定な方向性で構築されています。

今や知名度抜群のタクシー俳優、竹野内豊は、相変わらず飄々としながらもブレない判事を演じます。昔はWITH LOVEでイケメンだったのになあ。
なぜだか平安顔なのに妙に暑苦しい黒木華が真っ直ぐすぎて融通が聞かない、けど愛すべき研修弁護士でお客様の感情を揺さぶります。こういうキャラは大事。

そこに地球を守る異星人、じゃ無い、本当はストロングスタイルの弁護士、斎藤工は絡んで、なかなかの人間模様。

てか色々とグチャグチャ。劇中だとしても、それゼッテーダメな奴もてんこ盛り。軽犯罪のオンパでマヂ良いんすかと何度も思ってしまいました。

オチは割とあっさり。
想定の範囲内に着地します。
ここは残念。

大きな事件と小さな事件の関連性。絡んだ謎が解けていくカタルシスは、もっと練り込めると感じました。推敲が足りないと感じますね。時間が無かったか。ほんと惜しい。

とはいえ、このシリーズは続けば続くほど良くなる匂いがします。のりしろも行間もたくさんある。

「HERO」ほど重く無く「花村大介」ほど軽く無い。程よくゆるく、程よくガチで、程よく泣かせる浪花節。CXも焦らず慌てず欲張らず大切に育てて欲しいもの。主役の二人の代表作になるまで練って練り込んで欲しいと願ってやみません。

2時間を楽しく過ごせるエンタメならばTVだろうが映画だろうが、その評価は観た人に委ねられる。法律ほど杓子行儀ではありません。人間だもの。

フリーの時に続編まで二本書いた検事物をまた書きたくなりました。きっと主人公とヒロイン、彼らと仲間たちは、おっさん、早よ書けよって思ってるんだろうなァ。また霞が関に通わなきゃ。真実は、いつも一つでは無いよ、コナンくん。

うん、そう、だからこそー
いつだって答えは 遥か彼方にある
それが映画なのです。

次の展開も楽しみです。

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